人体最強の臓器 皮膚のふしぎ
椛島 健治/著
2022年12月20日 第1刷発行
8/12から読み始めて8/24読了
約10日間
P5
シュレディンガー博士
The task is...not so much to see what no one has yet see;but to think what nobody has yet thought,about that which everybody sees.
(大事なのは…まだ誰も見ていないものを見ることではなく、誰もが見ていることについて誰も考えたことのないことを考えることだ)
P10
アトピー性皮膚炎に対する世界初のJAK阻害薬の外用剤であるデルゴシチニブ軟膏
かゆみを抑えるIL-31受容体の中和抗体(ネモリズマブ)
P41
ヒトのフェロモンについてはまだまだ不明なことが多いのが実情です。
P126~
5-1 最も患者数が多い皮膚疾患は?
とりあえず、原因はわからなくても、皮膚に炎症のある疾患は「湿疹」という診断名がつけられます。<中略>しかし、「湿疹」と診断するのは、皮膚科医としてはある意味「敗北宣言」をしたに等しいことです。湿疹には、それぞれ原因<中略>があるわけですから、「湿疹」と診断するのは原因がわからなかったことを意味します。
上記のように書きながらも、機序についてはちゃんとP143~に書いてあった
P134
実は、「かぜ」についていえば、ベテランの医師であっても、問診や視診だけで、ウイルス性の風邪なのか細菌性の感染症なのかを判断するのは困難なことがしばしばあります。<中略>検査ができない細菌やウイルスも少なくありません。そのため、臨床医はみずからの経験と直感に頼って治療法を選択することも多くあります。このような治療はおよそ科学的とはいえないものですが、致し方ないことです。このように、医療というものは、意外に客観性に乏しいものなのです。
P174
一般に、環境が清潔すぎるとTリンパ球がTh2タイプのものに分化してアレルギーが起こりやすくなり、一方、環境に細菌などの汚染物質が多いとTリンパ球がTh1タイプに分化してアレルギーが起こりにくくなるといわれています。
上記から、消毒をし過ぎる、清潔にし過ぎるとアレルギーになる可能性があるということ
P201
いまでは「二重抗原曝露仮説」は科学的に正しいものと考えられています。
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「二重抗原曝露仮説」
簡単に説明すると、荒れた皮膚から抗原が入り込めばアレルギーを発症し、抗原を口から食べるとアレルギーを予防するという考え方です。
『食物アレルギーの発症予防』 第124回小児科学会 〜Dr.鈴木編〜 | エールホームクリニック|長岡市の内科・小児科・皮膚科の総合クリニック
食物の曝露経路には2つの経路が存在し、経路曝露は本来あるべき免疫寛容を誘導するのであって、アレルギー感作は経皮曝露により生じる
つまりアレルギーになるのは、食べ物からではなく、経皮感作(皮膚に付いたもの)が原因ということ
「経皮感作」
アレルゲンが皮膚のバリアを通過して、表皮や真皮に侵入すると、免疫細胞と反応して感作が起こります。 これを「経皮感作」といいます。
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P256
世界的な医学誌『New England Journal of Medicine』の2001年に発表された論文によると、ピロリ菌陽性の日本人1246人を追跡調査したところ、平均追跡期間7.8年で、36人が胃がんを発症しました。率にすると約2.9%ですから、無視できないリスクです。こうした研究成果もあり、いまではピロリ菌除菌は標準的な治療として定着しています。
これに関しては反対
科学的に「2.9%」という数字は大きいのかも知れないけど、97.1%の人はピロリ菌をもっていても胃がんになっていないんやで
それやのに、常在菌も含めて全て殺すような薬を投与する
それのどこがいいことなんやろうか?甚だ疑問
P257
個人的な意見ですが、やみくもに消毒や除菌する治療法はあまりお勧めできません。
なのにピロリ菌の除菌には賛成って…ここには矛盾を感じる
P275
成宮先生は、トリプトファンの中間代謝の研究で知られる生化学者、古武 弥四郎(こたけ やしろう)先生が書かれた文章をしばしば引用して、努力することの重要性をよく説かれていました。
本も読まなくてはならぬ
考えてもみねばならぬ
しかし凡人は働かなくてはならぬ
働くとは天然に親しむことである
天然を見つめることである
かくして
天然が見えるようになる
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この本を読んで、著者は信頼できる人だと思った
この本を読んで特に学んだこと2つ
1、アレルギー疾患の予防にはスキンケアが大切
それには保湿クリームがいい
2、「経皮感作」と「経口免疫寛容」
皮膚から入ろうとする異物に関しては防御反応が厳しく、食べた物に関しての防御反応は寛容的
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「経皮感作」と「経口免疫寛容」を知って思い出したのは「舌下免疫療法」と「ホメオパシー」
「舌下免疫療法」は科学的根拠があり、「ホメオパシー」は科学的根拠のない民間療法
そして「ホメオパシー」を思い出した時にいつも同時に思い出すのが「偽薬(プラセボ)効果」
あなどれない偽薬(プラセボ)効果|住友ファーマ 健康情報サイト
偽薬(プラセボ)効果という言葉を耳にされたことはないでしょうか。プラセボ効果とは有効成分が含まれていないくすりを、本物のくすりとして患者さんに使用してもらったときに、ある程度の割合で治ってしまうことがあります。これはくすりを飲んだという安心感が、体にひそむ自然治癒力を引き出しているとも言われています。
「ホメオパシー」は悪者にされることがよくある
ニセ科学「ホメオパシー」の実践が危険な理由 毒物の「ヒ素」でさえ薬にしてしまう謎理論 | 子育て | 東洋経済オンライン
でも、よく調べたら「ツボ」同様、本当に効くものがあるかも知れない
ツボは、WHO(世界保健機関)に認定されているものだけで361種あり
胃腸の改善や老化防止に効果!? 健康長寿のツボ(足三里・築賓・養老・頬車) | NHK健康チャンネル
つまり「ホメオパシー」は「まだわかっていないだけ」なのかも
だからもちろん「効かない」もしくは「悪化する」ものも含まれている可能性はある
科学的根拠がない=効果がない、ではないと思う
「わかってない」だから「危険」ってのはわからなくもない
でも「副作用がある」とわかっていることを「続けさせる」のもどうかと思う
話がだいぶん逸れたけど、この本はそれだけ刺激をくれたということやろう