あっ草花

草や花からも気づきを得られる、そんな境地を目指して

太宰治「女生徒」 本

太宰治「女生徒」


6冊の内の1冊。


女生徒の朝から夜までの一日を書いた小説。


自分が小説をそんなに読んでいないからやけど、最初から最後まで一人称で書かれているのは初めて読んだ。
よくここまで細かく書けるもんだと感心した。


けど、やはりというか何というか、小説も進化してきていて、最近の小説の方が面白い。
この「女生徒」を読んでいて2回、恩田 陸の「蜜蜂と遠雷」を思い出して、「あっちの方が面白い」と思ってしまった。

 


過去、現在、未来、それが一瞬間のうちに感じられるような、変な気持がした。


一つの本を読んでは、パッとその本に夢中になり、信頼し、同化し、共鳴し、それに生活をくっつけてみるのだ。


自分の周囲の生活様式には順応し、これを処理することに巧みであるが、自分、ならびに自分の周囲の生活に、正しい強い愛情を持っていない。
本当の意味の謙遜がない。独創性にとぼしい。模倣だけだ。人間本来の「愛」の感覚が欠如してしまっている。
お上品ぶっていながら、気品がない。そのほか、たくさんのことが書かれている。
本当に、読んでいて、はっとすることが多い。決して否定できない。

 


最後の文章の通り、読んでいてはっとすることがいくつかあった。


小説には物語の中に学びがある物もあれば、この作品みたいに物語としては何も進まないんやけど、登場人物が感じたこと、それを表現した一言が心に響くこともある。