それから
著:夏目漱石
岡 潔さんの本「情緒の教育」に夏目漱石の「それから」は全篇情緒だから面白いと書いてあったから読んでみた。
夏目漱石の本は以前「吾輩は猫である」を読もうとして面白くなくて途中で断念した。
この本も全体的に言葉が古く読みにくい漢字も多かったから途中でやめようかと思ったけど何とか最後まで読めた。
平岡はその時顔の中心に一種の神経を寄せていた。風が吹いても、砂が飛んでも、強い刺激を受けそうな眉まゆと眉の継目を、憚はばからず、ぴくつかせていた。そうして、口にする事が、内容の如何いかんに関かかわらず、如何いかにも急せわしなく、かつ切なそうに、代助の耳に響いた。代助には、平岡の凡すべてが、あたかも肺の強くない人の、重苦しい葛湯くずゆの中を片息で泳いでいる様に取れた。
たぶんこういう表現のことを情緒があるというんやろう。
話の展開を楽しむというより心の機微を味わう小説かなと思った。
本でいうと本屋大賞ではなく芥川賞。
映画でいうとアクションやサスペンスではなく山田洋次監督や是枝裕和監督作品。
音楽でいうとロックではなくクラシック。