よくおならをする利用者さんがいる。
その後ろには女性利用者さんが座っている。
俺はその光景を見て「可哀そうやから席替えしませんか?」とN先輩に提案した。
すると「席替えは勝手にできない。まずは所長に提案しないと」と言って所長に提案することはOKしてくれた。
次に、俺に口癖の改善を提案してくれたK先輩。
「気持ちはわかるけど、利用者から苦情が出ないのにこちらから動いたら問題が大きくなる」と、所長に提案することを良しとしない返事が返ってきた。
これも「確かに」やった。
たぶん後ろに座っている女性は我慢をしている。
何も言わないのは我慢できる範囲なんやと思う。
その状態でこちらが気を利かすことは蜂の巣をつつくことと同じ。
K先輩の意見に納得した。
・・・・・・・
その翌日、本館の方で席替えになるまでの問題が起きた。
発端は利用者Yさんが利用者Dさんに直接「挨拶がうるさい」と文句を言ったこと。
その文句を言っている姿を見て、利用者Tさんは職員に「利用者Dさんからされてイヤなことがある」と言ったらしい。
それを受けて所長は全員に「利用者Dさんはそのままでいい」と言った。
それを聞いて事の発端の利用者Yさんは納得。
その日、利用者Dさんに挨拶をして帰ったとのこと。
しかし、便乗し後から苦情を言ってきた利用者Tさんは帰ってからお母さんにそのことを言ったみたいで、お母さんから苦情の電話が入った。
そして利用者Tさんだけ席替えとなった。
俺も利用者Dさんの挨拶は回数が多いと思っていた。
ちょっとしつこいくらいに思っていた。
でも他の職員全員が何も言わないからこれでいいんだと思っていた。
俺の「べき論」を押し付けるより、「郷に入っては郷に従え」まずはここのやり方を学ぼうと思っていた。
実際、所長は「これでいい」と思っていたことが今回のことでわかった。
そして、やはり我慢している人が他にいることもわかった。
集団生活やから全員の希望は聞けない。
誰かが何かを我慢していると思う。
それをほじくるのは得策ではないと思った。
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これは「長い物には巻かれろ」「事なかれ主義」なのか?
そういう言い方にもなるやろう。
けど「機会を待つ」という考え方でもあると思う。
10/9の読売新聞に
政府は、下水処理の過程で出る汚泥を肥料として活用する取り組みに本腰を入れる。
とあった。
きっかけは化学肥料の価格が上がっているから。
俺も前から化学肥料より自然農法がいいのではと思っていた。
でも、俺が一人で社会全体の仕組みを変えようしても不可能。
既に行動されている人達と組んだとしても、社会全体を動かすのはとてつもなく困難。
でも「化学原料の高騰」という機会がきたから政府が動いた。
政府が動けば社会が動く。
今回のことで「事なかれ主義」と「機会を待つ」ことの違いがわかった気がした。
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なんてことを思っていたら昨日見たドラマでまた気分が落ちた。
ドラマ「ファーストペンギン」
タイトルの「ファーストペンギン」とは元来、臆病なペンギンの中で、多くの敵が潜む海に飛び込み、仲間たちを先導する「勇気ある一羽目のペンギン」を指す。
Wikipediaより
「虎穴に入らずんば虎児を得ず」ということわざもある。
いいと思ったことはした方がいいのか?
やはり俺は面倒くさいことが嫌なだけなのか?
いやいや。
「待てば海路の日和あり」
「千里の道も一歩から」
それに一休さんも言っていた。
「あわてないあわてない。一休み一休み。」
食事の仕方でも気づいた俺の悪い癖は「焦り」
まずは今のやり方に慣れることからでいい。
そしてその中で周りの信頼を得る。
何かを変えるのはその後がいい。