あっ草花

草や花からも気づきを得られる、そんな境地を目指して

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昔は今以上にアホやった
何も考えていなかった
勉強も普通にして
そこそこ遊んで
よく寝て

大学受験もただ勉強が嫌いやから受けなかった
もし落ちたら勉強したことが無駄になると思って受けなかった
勉強ができたからなんやねんと思って受けなかった
成績表を送ったら合格通知が返ってくると聞いて、建築の専門学校に決めた

15年前、オレは17歳
早生まれやから高校3年生
もう進路も決まってた
残りの授業をたんたんと過ごすだけやった
そんな1月17日

当時は7階建てのマンションの3階に住んでいた
当時でたしか築16年

朝、本棚が体に倒れてきてその痛みで起きた
幸い怪我はなかった
リビングに行ったら食器棚が倒れてて中の食器とガラスの扉が割れて散乱してた

オレの家は朝にテレビをつける習慣がなかった
その朝もたしかテレビは見なかった

オレはちょっと地震があったんや、くらいにしか思わずにいつもどおり学校に行った
門は閉まってる
周りにほとんど人はいない
連れが来て「休みちゃうか」というから帰ることにした

帰りしな、すれ違いに友人が「阪急伊丹駅がエライことになってるで」
と、道路の反対側から教えてくれた
学校の制服のまま、自転車で駅まで行った
すごい光景やった
[建 物 が 壊 れ て い る]
生まれて始めて見た
ヘリコプターは飛び回り、カメラと記者の人たちも大勢おった
今回の地震は大変なことやったんや
この時始めて気が付いた

家に帰ってテレビを見たら
倒れている阪神高速
炎に包まれている街
異様な光景に、現実とは思えなかった

後に、同じ学校の学生の家族の方が数人亡くなったと聞いた
阪急伊丹駅の下に交番があり、そこにいた警官2名が亡くなったとも聞いた

オレの住んでるマンションはヒビが入った程度で「住む事はできる」と判定された
たしか、電気も水道もガスも止まらなかったような気がする
オレはまだ恵まれていた
さほど苦しい思いはせずに済んだ

毎年、この時期になると震災を忘れないように活動を続けている方たちがテレビで紹介される
当時17歳、元気いっぱいだったはずのオレは
ボランティア等には参加しなかった
そういった場所に登録に行こうとすらしなかった
そういう団体があることを知らなかったのか
ほんまに世間知らずのアホやった

あれから15年
結局オレは何も変わってないのかも