映画 「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」
ネタバレがあります。
映画の内容を知りたくない方は、この記事を見ないでください。
9/4台風が来ることがわかっていたから映画を借りた。
停電で見られなかった分を9/6の休みに見た。
その中の1つ。
映画の記事は全然書いてなかった。
見てはいるけど、何か書く気にならなかった。
けどこれは久しぶりにまとめたかった。
この映画は予告編も見たことがなく、内容も全く知らなかった。
見終わった瞬間の感想は「う~んまぁまぁやったけど、モヤモヤが多すぎてスッキリしない」やった。
そこでネット検索して人の感想を読んでみた。
すると「そういえばあれは?」と他にも気になることが出てきた。
それを人の意見と合わせて考えると「なるほど、もしそうなら深い!」と感想が変わった。
以下ネタバレ。
その前にストーリーをザックリと。
主人公の少年と仲のよかった父親が9.11に巻き込まれて亡くなった。
亡くなって1年後、父親の部屋から封筒に入った鍵を見つけた。
父親は子供を成長させるため、自分で考えさせる問題を出すのが好きだった。
この鍵で父親の何かがわかるかも知れない、と少年は鍵穴を探しはじめる。
少年はアスペルガー症候群。
しかも9.11以降、人や騒音が怖くなって前より状態は悪くなった。
そんな困難な状態の中、封筒に書いてあった「black」という文字を人の名前だと仮定して、電話帳を頼りに片っ端から「blackさん」に会いに行く。
俺が抱いた疑問。
・歩いて一日二人に会えるの?アメリカの距離感がさっぱりわからない。
・お婆さんは夜中にどこに行っていたのか?
・お母さんはどこにいたのか?
・鍵で開く金庫の中身は?
・6回も電話できたのか?
・お母さん、仕事しながら先回りできたの?
結局、鍵の正式な持ち主は見つかるが、その中身は映画では出てこない。
それに、母親がついた嘘、お婆さんが夜中に家にいなかった理由など、解決されない問題がいくつもあった。
問題の答えをネットで探すと一番出てきたのは、映画の「題名」と「中身」の意味。
なるほどそう言えば、題名は何を意味していたのか。
そこで、まずは原題を直訳してみた。
「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い(原題:Extremely Loud & Incredibly Close)」
Extremely=非常に
Loud=大声で
&=そして、
Incredibly=信じられないほど
Close=閉じる
「非常に大声で そして、信じられないほど閉じる」
これだと意味が通じない。
そこでここは繋げて再度検索。
Incredibly Close=信じられないほど近い
これで
「非常に大声で そして、信じられないほど近い」
これだと
これにしたのも頷ける。
この「Extremely Loud & Incredibly Close」は映画の中で、少年が自分で作って母親に贈ったた本の題名。
そしてネットの意見は「存在=母親」とよんでいた。
これには納得。
【隠し事】
ふとした瞬間、
・お婆さんは夜中にどこに行っていたのか?
・お母さんはどこにいたのか?
・鍵で開く金庫の中身は?
それと
間借り人(祖父)「答えたくないこともたくさんある」という言葉を同時に思い出し、それらと少年が繋がった。
少年もまた、ビルから煙が出ている光景をテレビで見ながら、父親からだとわかっている電話に出られなかった。
そしてそのことを誰にも言えなった。
【落ち込む】
何回か出てきた「人(父親も含む)が落下するシーン」
これは「人は誰でも落ち込むことがある」ということを表現したのかもと思った。
父の死から1年は父の部屋に入れなかった=落ち込んでいた=人が落ちる映像
【みんな同じ】
少年は鍵穴探しの旅で「みんな何かを抱えながら生きている」ということを知る。
映画の中で答えを出さなかった「母親の真実、お婆さんの行方、お爺さんの過去、金庫の中身」
これらは「みんな心に闇があり、みんな人には言えない何かを抱えている」という表現なのかもと思い、俺が抱いた疑問のいくつかはスッキリした。
あとのいくつかは「映画だから」で片付けた方がよさそう。
【心の闇】
ここでアニメ映画「バケモノの子」を思い出した。
同じように「誰しも心に闇があり、それを抱えて生きている」
そして「みんな同じなんだと思うと安心する」このキーワードも同じだった。
「バケモノの子」の公開は2015年7月11日。
「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」の公開は2011年9月25日。
「バケモノの子」が影響を受けたのかな。
「心に闇」で思い出しのが封筒に書いてあった文字「black」
誰しもが心に抱える「闇」を「black」という名前で表現したのかも。
【どん底】
最後の方、少年は父親からだとわかっている電話に出られなかったことを、鍵の持ち主に言えた。
少年「許してくれる?」
鍵の持ち主「あぁもちろん許すとも」
少年「あなたのお陰で気分が楽になったよ」
しかしこの後、鍵が父親と直接関係なかったことから落胆しパニックになった。
【乗り越える】
鍵穴を探すために「blackさん」に会いに行く初めの時、少年の苦手なことをずらーっと言っていた。
そしてそれらをごまかす為に少年はいつもタンバリンを鳴らしながら歩く。
しかし、鍵を持ち主に渡し、落胆から一時は発作になるものの、母親と和解、本を贈った後はタンバリンなしで歩いていた。
心につかえた何かが開放された。
人(父親も含む)が落下するシーンも何回か出てくる。
しかし、本のラストは人が地面からビルの飛び上がるような仕掛けを作っていた。
落ち込んだ気分から解放された。
それらを思い出し、映画のタイトルの意味は、
乗り越えるべき存在。
又は、
乗り越えるために必要な存在。
なのか、どちらにせよ
『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』存在=母親で、
本の内容が「乗り越えたこと」だと思った。
そして最後にブランコ。
父親と一緒の時には怖くて乗れなかったブランコに乗るシーンも出てくる。
本が完成しても尚、成長していく姿を描くことによって、完成はない、常に前進し続ける。
ということを表現したのでは。
ダルドリーは当初、同時多発テロから10周年となる2011年9月11日公開を望んでいた。
911を題材にし、みんな何かを抱えているということを表現した。
テーマは「乗り越える」
解決方法は「人との会話」
少年は旅に出て、人と話し、みんなも同じだと気付き、成長し、克服した。
明日が9月11日で、今の天災が続く日本にもちょうどいいと思ってまとめたかった。
どんな困難が来ても「乗り越える」ことが大切。