昨日(4/21)の朝、ラジオで聞いて気になった判決が出た。
海外婚夫婦 婚姻成立認めるも 別姓の戸籍記載認めず 東京地裁
www3.nhk.or.jp日本では、民法で夫婦は同じ姓にすると規定され、日本人どうしが結婚するときに夫婦別姓が認められておらず、国側が「2人の結婚は婚姻の実質的な要件を欠き、日本では成立していない」と主張した一方、夫婦は「ニューヨーク州の法律によって婚姻は有効に成立している」と主張しました。
これを読んだ時は納得したけど、後で「ニュース+」を読んだ時に違和感が生じた。
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4/22 読売新聞 ニュース+
Q
ソウル中央地裁の訴訟に、日本政府はなぜ出席しないのか。
A
主権国家の行為や財産は他国の裁判権に属さないという国際慣習法上の「主権免除」の原則を根拠に、裁判そのものを認めていないからだ。
「ニューヨーク州の法律によって婚姻は有効に成立している」
これを元に
婚姻の成立については認めた
としちゃうと主権国家が他の国家の裁判権に属することはない、という原則に矛盾するのでは?
まぁ、これはまた別問題ということで。
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一部で違和感は感じたけど、全体で見ると「いい判決やな」と思った。
イエスバット法というのがあるらしい。
イエスバット法とは、相手の意見を「Yes,」と肯定したあと、「but」と否定する話法。反論したいけれど、相手の気分を害したくない……というときに使うテクニックです。
認めるところは認めます。
でもね・・・、という言い方。
この「認める判断材料」は、海外の制度を元にした。
「でも日本の制度はね」の部分は、
一方で「戸籍については家庭裁判所に不服を申し立てるほうが適切だ」として、訴えを退けました。
それと、
また「2人が『夫婦が称する姓』を決めないのは2人の事情であり、姓を決めて戸籍の記載を求めるのに何ら客観的な障害は見当たらない」などとして、別姓のまま戸籍に記載することについては認めませんでした。
これらがうまいと思った。
裁判長は訴えを起こした夫婦の言い分を、自分の権限の範囲内でまず認めた。
これによって夫婦の承認欲求は一部、満たされたのでは。
そしてそれ以外の部分に関しては「家裁が適切」として権限を明確にした。
これによって夫婦は裁判所にこれ以上言えない代わりに、しようと思えば次の行動に移せる。
そして『夫婦が称する姓』を決めないのは2人の事情として、自分たちが勝手にしてること(しないだけ)でしょ、と指摘した。
これによって夫婦に『夫婦が称する姓』を決めるという選択肢もあるんだよ、と提示しているようにも取れる。
つまりこの裁判長は、自分に与えられた範囲内でできることをした。
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この夫婦について考えてみた。
・夫婦別姓がいい。
これは自分もわからないでもない。
したい人はできるように、選択できる制度がいいと思う。
今の日本では、夫婦別姓だと婚姻届けが受理されないから(法的な保護や利益という)メリットが受けられない。
これは法の下の平等に反する。
・なんとかしてくれよ。
これはよくわかる。俺も法の下の平等は大切だと思う。
読売新聞より
2人は1997年、米ニューヨーク州の法律に基づいて別姓で結婚。
2018年に別姓のまま婚姻届けを東京都内の区役所に提出したが、日本の制度では夫か妻の性を選んで記入する必要があるため、書類の不備を理由に受理を拒まれた。
夫婦は日本の制度が変わるまで20年待った。
それでも変わらないから訴えたらしい。
・ご夫婦はけっこう我慢した。
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ここで自分なら?を考えた。
結婚は何のためにするのか?
人や国から認めてもらうためにするのか?
お互いがいいならそれでいいのでは?と思ってしまう。
周りから認めて貰えなくても、法律的な特典がなくても、お互いが認め合って暮らせば争うことはなかったはず。
でも一方で、国の法律によって利益を得る人とそうでない人とが分かれるのは違うと思う。
だから「選択制夫婦別姓」を導入すればいいのに、なぜ反対する人がいるのか?
これがわからない。ネットを見てもわからない。
これらからもし俺が夫婦別姓を望むなら、制度は利用して日常は別姓で暮らすかな。
特典を受けたいのなら、そのルールに乗っかればいい。
だから制度上必要なのでどちらかの姓にして婚姻届けを出す。
でも日常、ご近所さんには別姓ですねんと言って暮らせばいい。
郷に入っては郷に従え。
長いものには巻かれろ。
これらを実践すれば争う必要はなかった。
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NHKニュースより
専門家「本質的な問題については正面からの判断避けている」
この判決だと、訴えている夫婦は、婚姻は成立しているのに証明するものがないという状況になってしまい、婚姻による法的な保護や利益を得られず不安定な状態となり、夫婦の不安は解決しない。
「法的な保護や利益」を得るためには証明するものが必要。
でも婚姻届けは受理されないんやから問題は解決していない。
ということで、
読売新聞より
法務省民事局は「原告の婚姻が国内で有効に成立しているとは考えていない」とコメントした。
そりゃそうでしょう。
しかし今回の判決を受けて、
読売新聞より
想田さんは判決後、「海外で婚姻すれば『別姓婚』が可能だと示した実質的勝訴だ。夫婦別姓をめぐる議論に一石を投じることができた」と述べた。
一石を投じることに関しては達成したという感想。
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今回の裁判長の判決は、「主権免除」で考えると他国の法律を持ってきたことは矛盾にならないのか気になる。
それと、日本では婚姻届けの受理をもって法律上正式の結婚とするはずが、受理はしないが婚姻は有効だと認めてしまったことも矛盾だと感じる。
今回の判決は、今の法律上、原告側のご夫婦の希望を可能な限り聞き入れ、将来、こういった争いが起こらないためには制度改正が必要になる、という内容だったと思う。
だから、2つも矛盾を感じるがとてもいい判決だったと思う。